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#navi(silver)
**光と風の環 <始まりの刻 8> [#fb8a21dd]
RIGHT:''&color(#ffdab9,#000){著者:真悠};''
RIGHT:&counter;
セイクリッドはエルミアの腕を掴んだまま、村の裏路地を足...
エルミアもまた、急かされたままに足早に歩いていたせいか軽...
「…ちくしょう、あの野郎共!」
いきなり毒づくセイクリッドにエルミアが、一瞬目を丸くし...
「え…ユーリス…?」
エルミアの声に再び深い溜息を吐きながら、セイクリッドは...
「ど、どうしたの?」
「…あの阿呆共だけならまだしも、何だって&ruby(・){奴};まで...
セイクリッドの言葉にエルミアがその腕の中で苦笑する。
「奴って…だって過去の貴方じゃない。どうしてそんなに怒らな...
「…せっかく、フィンが楽しみにしていた事ををぶち壊したよう...
ぶっきらぼうに答えるセイクリッドに、エルミアの頬がパッ...
そのセイクリッドのさり気無い心遣いが、エルミアには嬉しか...
そんなエルミアに驚いているのか、セイクリッドのエルミアを...
「そんな事ない…楽しかったもの。」
「フィン…。」
甘い風が2人の周りを吹き抜けていった。どちらからともな...
思いがけない突然の拒否にエルミアの瞳には、うっすらと涙が...
「わ、悪い…この姿でお前に手を出すって言うのは…俺自身、か...
「…え…?」
意外な言葉にエルミアは、顔を上げてセイクリッドを見つめ...
「いや…その、俺がこの姿だと、どうしてもフィンが他の男と抱...
「え、だって…外見がどれだけ違ったとしても…貴方である事に...
「理屈では…充分すぎるほど判っているんだが、俺の感情が納得...
小さく溜息を吐いて不貞腐れたかのようなセイクリッドの言...
セイクリッド本人でありながら、彼自身の外見が違うというだ...
「どうせ…俺の事、愚かな奴だと思ってるんだろう?」
エルミアに笑われて、むすっとした顔でそっぽを向くセイク...
「あたしね…ずっと貴方の事、非の打ち所のない完璧な男性だと...
「おい、フィン!」
セイクリッドの語尾が強くなる。エルミアはそんなセイクリ...
「怒らないで聞いて! でも…違うんだって今判ったの。あたし...
エルミアがセイクリッドを抱きしめながら呟いた言葉に、ビ...
逆の立場であるなら…エルミアが恐怖や哀しみで、全身を震わせ...
不意に告げられた甘く暖かで優しい想い。そして、自分には...
彼の不安を知ってか知らずか、エルミアの暖かな腕がセイク...
それはセイクリッドが、遥か過去に受けた塞ぎようのなかった...
「…フィ…ン…。本当に…?」
セイクリッドの言葉にエルミアがゆっくりと顔を上げる。エ...
「嘘なんて言わない…あたし…好きでもない人に好きって言える...
エルミアの瞳から一筋の涙が零れ落ちる。その涙が、セイク...
「どんな姿をしていても、セイルの事好きよ。あたしにとって…...
「…違…う。それは…。」
「え…?」
言いかけた言葉を遮り、エルミアの身体を強く抱きしめるセ...
「…離れて行くなってのは…俺の方が言いたい…。それを言ったら...
お前が…俺の腕の中に残ってくれると言うなら、他の何を失って...
セイクリッドの胸の中で、エルミアがあっと息を飲み込む。...
似たような言葉を言った事もある、そして2人とも態度には、...
そして2人は抱き合ったままで小さな異変に気が付いていな...
#hr
そんな2人の周りで眩いばかりの光が輝き弾けていた。ハッ...
「…そうだ…思い出した。この光、この刻の星誕際は…ファグルと...
セイクリッドの呟きに聞き覚えのある名前が、エルミアの耳...
「フィン、ファグルを探すのに跳ぶぞ。」
セイクリッドはいきなりそう言うと、エルミアを抱きかかえ...
この世界に来た時と同様に、耳障りな摩擦音がエルミアを襲い...
セイクリッドの手が、エルミアの両耳を塞ぐかのように添え...
目の前に眩しい光が広がっていた。思わず目を硬く瞑ったエル...
「…ちっ…!」
その異常に気が付いたセイクリッドは、エルミアを抱えたま...
なんとか、その崩壊の中から逃れた2人は、大地に辿り着いて...
安堵の溜息を吐くセイクリッドにエルミアが尋ねる。
「ど、どうなってるの…? 何が起こったの…。」
「あぁ、俺の飛翔や空間転移がこの世界に拒否されただけだ。」
事も無げにあっさりと言い除けるセイクリッドに、エルミア...
「それって…貴方の超常力が発揮されないって言う事…になるの...
エルミアの質問に苦笑するしかないセイクリッド。エルミア...
「まぁ…単純に言っちまえばそうなるか。この時代に俺と言う人...
「セイルの超常力が拒否された? …それって貴方にメチャクチ...
エルミアの指摘に一瞬驚いたような顔をして、再び苦笑した...
「…ったく、お前の勘は鋭いよな。最も…そういう所も、俺がお...
セイクリッドがさらっと言った言葉にエルミアの顔が、仄か...
ふと、エルミアの耳に風の歌声が聞こえてきた。不思議そうな...
「…綺麗…。」
思わずエルミアが、その光が舞い降りてくる姿を見てそう呟...
「鬼が出るか…蛇が出るか。わざわざ探さなくても良かったって...
「え、何? 今何て言ったの…セイル。」
エルミアの口から洩れた言葉にセイクリッドが思わず彼女の...
【セイクリッドだと…?】
微かな声が、辺りに響き渡っていた。それは人間の声と言う...
口を塞がれたまま、セイクリッドの顔を見上げているエルミア...
【…&ruby(か){彼};の者の名を騙る者がおろうとは…。我等の婚...
威厳のある容赦のない声。それは紛れも無く、先日出会った...
セイクリッドは、エルミアの驚きに気が付き空いている手で、...
地霊王ジオの姿が、大地からフワリと吹き上がった陽炎の中...
【そこなる痴れ者共よ。とっとと消え失せるが良い。】
それは威圧に満ちたものであった。思わずエルミアの身体が...
「地霊王ジオよ。貴方方のめでたき婚儀の日、我等が光人がお...
流暢に&ruby(うやうや){恭};しく言葉を綴るセイクリッドに...
【…セイクリッドの名を騙り、姿を映した痴れ者よ。&ruby(みた...
感情のこもらない言葉が、再びエルミアの全身を震撼させて...
このままでは、超常力の発揮されないセイクリッドは、本当に...
地霊王ジオの冷ややかな視線が、エルミアに突き刺さる。ゾ...
【光人でも無き戯け者が…。そのような醜い姿を我等が前に出す...
すぅっとジオの指が上がったかと思うと、エルミアに対して...
「あ…!」
「ば、馬鹿!」
ほんの一瞬であった。エルミアはそのジオの超常力に目を硬...
そんな2人の杞憂の前にジオの放った超常力は、エルミアとセイ...
【私を綺麗だと…言ってくれたヒトを消滅させる気?】
【全く…ジオのヒト嫌いは凄まじいものがありますね。】
セイクリッドとエルミアの前には光のヴェールを纏った聖霊...
呆然としているエルミア、安堵の溜息を吐いているセイクリッ...
【…? セイクリッドではあるけれど、セイクリッドではないの...
「ファグル…。」
セイクリッドが小さく呟く。二人を助けてくれた聖霊は、女...
【セイクリッドであってセイクリッドではない? ではこの者...
ジオが冷たく言い放つ。2人を庇ってくれた聖霊は、そんな...
【愚か者であれ、何であれ、私を綺麗だと言ってくれた者に対...
ファグルの申し出に不快そうな顔をしながらも、待つ事にし...
「え!?」
「どうして…それが。」
聖霊の言葉にエルミアとセイクリッドは思わず絶句する。女...
【…この世界の光人であるセイクリッドならば、私達の愛しい創...
乾いたような笑みを浮かべ、ほんの一瞬脱力したかと思うと...
「判っているなら、話は早い。ファグル…環の場所を教えてもら...
【…俺達、ではなくそのヒトにとって必要なのでしょう。言葉は...
「ファグル、茶化さないで教えてくれないか。この通りだ、頼...
セイクリッドはそう言うと、深々と頭を下げていた。そんな...
【…残念だけど貴方には教える事は出来ないわ。】
思ってもいない冷たい反応にセイクリッドが思わず顔を上げ...
「俺が…ジオとファグルの婚儀を邪魔したからか?」
怒りを抑えようとセイクリッドの声が震えていた。もしもこ...
【まぁ、それもあるけれど…貴方には教える事は不可能なの。例...
ファグルの含んだような言葉にエルミアがハッとなり、ファ...
【…今星日に私を綺麗と言ってくれたヒトの子よ。貴女の名前は...
「エ、エルミア・フィンリー・ライバート…です。」
エルミアの返答に少し考えたあと、ニコリと微笑むファグル。
【そう、環を必要としているのは貴女なのね。…環は、刻を超え...
場所はどこにあるか、それこそ定かではないの。その場所で決...
ファグルの言葉にコクンと頷くエルミア。ファグルはエルミ...
「…人としての自分の宿命を受け入れ、ただ運命に翻弄され続け...
エルミアは自分の言った事にあっと小さく驚いていた。ここ...
【ヒトの子よ、環ではないけれどこれを持ってお行きなさい。】
ファグルはそう言うと、エルミアの手のひらに丸い木の実を...
「こ、これは?」
戸惑っているエルミアにファグルが微笑みながら答えてくれ...
【聖霊の結実王たる私からのお礼です。ヒトの子よ、貴女は、...
「あ、ありがとうございます…。」
【それと…。】
最後にクスクス笑いながらファグルがエルミアに何かを耳打...
ファグルは、そんなエルミアにニッコリと微笑んでジオの元に...
その眩さに思わず目を瞑るエルミア。そんなエルミアの眼をそ...
「セイル?」
「この光に人間は耐えられないからな。そのまま目を瞑ってい...
セイクリッドの言葉に眼を覆い隠されながら、頷くエルミア...
聖霊達の婚儀の場から、離れているのだろう。セイクリッドは...
どのぐらい離れたのか、眼の奥には先程の強烈な光は、エルミ...
「もう眼を開けてもいいぜ?」
セイクリッドの声にエルミアがゆっくりと瞼を開ける。そこ...
そして、エルミアをじっと見つめているセイクリッドと視線が...
「ファグルに何を言われた?」
「え? 別に…。セイルだって聞いてたじゃない。」
「あいつが最後にお前に何かを言っていただろうが。何を言わ...
「な、何でもないわ。」
エルミアは再び真っ赤になってその声は上擦っており、とて...
「…ったく、環の手掛かりがあると思いきや、聖霊共が揃いも揃...
話を変えるかのように、セイクリッドが呟いている。
「…ねぇセイル? 光人と呼ばれる貴方達と、あたし達人間との...
「ん? 何なんだいきなり…。」
エルミアはファグルの言った事を思い出しながら、言葉を続...
「光人には絶対に見つけられないけれど、普通の人間になら見...
「は? 何を言い出すんだよ、フィン?」
エルミアの突拍子もない考えにセイクリッドは眼を丸くして...
「うん、突拍子もない事を言っているなって自分でも思うんだ...
「ふ…む、まぁ確かにな…。けどあいつ等は、はっきりとした事...
「…判らない…けど、環は誰にでも見つけられるものなのかなっ...
「それは…なんとも言えねぇな。誰でも彼でも見つけ出せるもの...
「うん…。」
世界に混乱をきたすものであり、誰もが望んでも得られない...
「聖霊達の元に行ってかなり時間が経ってたようだな。間に合...
「え? どこへ…。」
エルミアの返答に呆れたような顔をしているセイクリッド。
「お前が最初に言った事だろうが。もう忘れちまったのか。」
過去の聖帝国ムー、ここに来た理由? その理由を考えてい...
「お前なぁ…。」
「わ、忘れていた訳じゃないわよ! 色んな事が一遍に起こり...
上目遣いに自分を睨んでくるエルミアに苦笑を浮かべるセイ...
「中に入る事は…出来ないと思う。外から見るだけになるが、そ...
セイクリッドの言葉にエルミアが小さく頷いた。
「この世界を出るまでは、俺の超常力も使えねぇだろうな。ま...
付いて来いと言う様に、セイクリッドがエルミアを促す。エ...
太陽は地平線に傾き始め、柔らかな光から残光のようなオレン...
「ここって、本当に綺麗ね…何もかもが信じられないほどに。」
辺りを見回しながらポツリと呟いたエルミアにセイクリッド...
「どんな奴の目にも、過去ってのは…綺麗に見えるらしいぜ。」
セイクリッドの言葉に一瞬首を傾げて、その背中を見つめて...
まるで人事のように言い切ったセイクリッド。では、彼自身は...
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**光と風の環 <始まりの刻 8> [#fb8a21dd]
RIGHT:''&color(#ffdab9,#000){著者:真悠};''
RIGHT:&counter;
セイクリッドはエルミアの腕を掴んだまま、村の裏路地を足...
エルミアもまた、急かされたままに足早に歩いていたせいか軽...
「…ちくしょう、あの野郎共!」
いきなり毒づくセイクリッドにエルミアが、一瞬目を丸くし...
「え…ユーリス…?」
エルミアの声に再び深い溜息を吐きながら、セイクリッドは...
「ど、どうしたの?」
「…あの阿呆共だけならまだしも、何だって&ruby(・){奴};まで...
セイクリッドの言葉にエルミアがその腕の中で苦笑する。
「奴って…だって過去の貴方じゃない。どうしてそんなに怒らな...
「…せっかく、フィンが楽しみにしていた事ををぶち壊したよう...
ぶっきらぼうに答えるセイクリッドに、エルミアの頬がパッ...
そのセイクリッドのさり気無い心遣いが、エルミアには嬉しか...
そんなエルミアに驚いているのか、セイクリッドのエルミアを...
「そんな事ない…楽しかったもの。」
「フィン…。」
甘い風が2人の周りを吹き抜けていった。どちらからともな...
思いがけない突然の拒否にエルミアの瞳には、うっすらと涙が...
「わ、悪い…この姿でお前に手を出すって言うのは…俺自身、か...
「…え…?」
意外な言葉にエルミアは、顔を上げてセイクリッドを見つめ...
「いや…その、俺がこの姿だと、どうしてもフィンが他の男と抱...
「え、だって…外見がどれだけ違ったとしても…貴方である事に...
「理屈では…充分すぎるほど判っているんだが、俺の感情が納得...
小さく溜息を吐いて不貞腐れたかのようなセイクリッドの言...
セイクリッド本人でありながら、彼自身の外見が違うというだ...
「どうせ…俺の事、愚かな奴だと思ってるんだろう?」
エルミアに笑われて、むすっとした顔でそっぽを向くセイク...
「あたしね…ずっと貴方の事、非の打ち所のない完璧な男性だと...
「おい、フィン!」
セイクリッドの語尾が強くなる。エルミアはそんなセイクリ...
「怒らないで聞いて! でも…違うんだって今判ったの。あたし...
エルミアがセイクリッドを抱きしめながら呟いた言葉に、ビ...
逆の立場であるなら…エルミアが恐怖や哀しみで、全身を震わせ...
不意に告げられた甘く暖かで優しい想い。そして、自分には...
彼の不安を知ってか知らずか、エルミアの暖かな腕がセイク...
それはセイクリッドが、遥か過去に受けた塞ぎようのなかった...
「…フィ…ン…。本当に…?」
セイクリッドの言葉にエルミアがゆっくりと顔を上げる。エ...
「嘘なんて言わない…あたし…好きでもない人に好きって言える...
エルミアの瞳から一筋の涙が零れ落ちる。その涙が、セイク...
「どんな姿をしていても、セイルの事好きよ。あたしにとって…...
「…違…う。それは…。」
「え…?」
言いかけた言葉を遮り、エルミアの身体を強く抱きしめるセ...
「…離れて行くなってのは…俺の方が言いたい…。それを言ったら...
お前が…俺の腕の中に残ってくれると言うなら、他の何を失って...
セイクリッドの胸の中で、エルミアがあっと息を飲み込む。...
似たような言葉を言った事もある、そして2人とも態度には、...
そして2人は抱き合ったままで小さな異変に気が付いていな...
#hr
そんな2人の周りで眩いばかりの光が輝き弾けていた。ハッ...
「…そうだ…思い出した。この光、この刻の星誕際は…ファグルと...
セイクリッドの呟きに聞き覚えのある名前が、エルミアの耳...
「フィン、ファグルを探すのに跳ぶぞ。」
セイクリッドはいきなりそう言うと、エルミアを抱きかかえ...
この世界に来た時と同様に、耳障りな摩擦音がエルミアを襲い...
セイクリッドの手が、エルミアの両耳を塞ぐかのように添え...
目の前に眩しい光が広がっていた。思わず目を硬く瞑ったエル...
「…ちっ…!」
その異常に気が付いたセイクリッドは、エルミアを抱えたま...
なんとか、その崩壊の中から逃れた2人は、大地に辿り着いて...
安堵の溜息を吐くセイクリッドにエルミアが尋ねる。
「ど、どうなってるの…? 何が起こったの…。」
「あぁ、俺の飛翔や空間転移がこの世界に拒否されただけだ。」
事も無げにあっさりと言い除けるセイクリッドに、エルミア...
「それって…貴方の超常力が発揮されないって言う事…になるの...
エルミアの質問に苦笑するしかないセイクリッド。エルミア...
「まぁ…単純に言っちまえばそうなるか。この時代に俺と言う人...
「セイルの超常力が拒否された? …それって貴方にメチャクチ...
エルミアの指摘に一瞬驚いたような顔をして、再び苦笑した...
「…ったく、お前の勘は鋭いよな。最も…そういう所も、俺がお...
セイクリッドがさらっと言った言葉にエルミアの顔が、仄か...
ふと、エルミアの耳に風の歌声が聞こえてきた。不思議そうな...
「…綺麗…。」
思わずエルミアが、その光が舞い降りてくる姿を見てそう呟...
「鬼が出るか…蛇が出るか。わざわざ探さなくても良かったって...
「え、何? 今何て言ったの…セイル。」
エルミアの口から洩れた言葉にセイクリッドが思わず彼女の...
【セイクリッドだと…?】
微かな声が、辺りに響き渡っていた。それは人間の声と言う...
口を塞がれたまま、セイクリッドの顔を見上げているエルミア...
【…&ruby(か){彼};の者の名を騙る者がおろうとは…。我等の婚...
威厳のある容赦のない声。それは紛れも無く、先日出会った...
セイクリッドは、エルミアの驚きに気が付き空いている手で、...
地霊王ジオの姿が、大地からフワリと吹き上がった陽炎の中...
【そこなる痴れ者共よ。とっとと消え失せるが良い。】
それは威圧に満ちたものであった。思わずエルミアの身体が...
「地霊王ジオよ。貴方方のめでたき婚儀の日、我等が光人がお...
流暢に&ruby(うやうや){恭};しく言葉を綴るセイクリッドに...
【…セイクリッドの名を騙り、姿を映した痴れ者よ。&ruby(みた...
感情のこもらない言葉が、再びエルミアの全身を震撼させて...
このままでは、超常力の発揮されないセイクリッドは、本当に...
地霊王ジオの冷ややかな視線が、エルミアに突き刺さる。ゾ...
【光人でも無き戯け者が…。そのような醜い姿を我等が前に出す...
すぅっとジオの指が上がったかと思うと、エルミアに対して...
「あ…!」
「ば、馬鹿!」
ほんの一瞬であった。エルミアはそのジオの超常力に目を硬...
そんな2人の杞憂の前にジオの放った超常力は、エルミアとセイ...
【私を綺麗だと…言ってくれたヒトを消滅させる気?】
【全く…ジオのヒト嫌いは凄まじいものがありますね。】
セイクリッドとエルミアの前には光のヴェールを纏った聖霊...
呆然としているエルミア、安堵の溜息を吐いているセイクリッ...
【…? セイクリッドではあるけれど、セイクリッドではないの...
「ファグル…。」
セイクリッドが小さく呟く。二人を助けてくれた聖霊は、女...
【セイクリッドであってセイクリッドではない? ではこの者...
ジオが冷たく言い放つ。2人を庇ってくれた聖霊は、そんな...
【愚か者であれ、何であれ、私を綺麗だと言ってくれた者に対...
ファグルの申し出に不快そうな顔をしながらも、待つ事にし...
「え!?」
「どうして…それが。」
聖霊の言葉にエルミアとセイクリッドは思わず絶句する。女...
【…この世界の光人であるセイクリッドならば、私達の愛しい創...
乾いたような笑みを浮かべ、ほんの一瞬脱力したかと思うと...
「判っているなら、話は早い。ファグル…環の場所を教えてもら...
【…俺達、ではなくそのヒトにとって必要なのでしょう。言葉は...
「ファグル、茶化さないで教えてくれないか。この通りだ、頼...
セイクリッドはそう言うと、深々と頭を下げていた。そんな...
【…残念だけど貴方には教える事は出来ないわ。】
思ってもいない冷たい反応にセイクリッドが思わず顔を上げ...
「俺が…ジオとファグルの婚儀を邪魔したからか?」
怒りを抑えようとセイクリッドの声が震えていた。もしもこ...
【まぁ、それもあるけれど…貴方には教える事は不可能なの。例...
ファグルの含んだような言葉にエルミアがハッとなり、ファ...
【…今星日に私を綺麗と言ってくれたヒトの子よ。貴女の名前は...
「エ、エルミア・フィンリー・ライバート…です。」
エルミアの返答に少し考えたあと、ニコリと微笑むファグル。
【そう、環を必要としているのは貴女なのね。…環は、刻を超え...
場所はどこにあるか、それこそ定かではないの。その場所で決...
ファグルの言葉にコクンと頷くエルミア。ファグルはエルミ...
「…人としての自分の宿命を受け入れ、ただ運命に翻弄され続け...
エルミアは自分の言った事にあっと小さく驚いていた。ここ...
【ヒトの子よ、環ではないけれどこれを持ってお行きなさい。】
ファグルはそう言うと、エルミアの手のひらに丸い木の実を...
「こ、これは?」
戸惑っているエルミアにファグルが微笑みながら答えてくれ...
【聖霊の結実王たる私からのお礼です。ヒトの子よ、貴女は、...
「あ、ありがとうございます…。」
【それと…。】
最後にクスクス笑いながらファグルがエルミアに何かを耳打...
ファグルは、そんなエルミアにニッコリと微笑んでジオの元に...
その眩さに思わず目を瞑るエルミア。そんなエルミアの眼をそ...
「セイル?」
「この光に人間は耐えられないからな。そのまま目を瞑ってい...
セイクリッドの言葉に眼を覆い隠されながら、頷くエルミア...
聖霊達の婚儀の場から、離れているのだろう。セイクリッドは...
どのぐらい離れたのか、眼の奥には先程の強烈な光は、エルミ...
「もう眼を開けてもいいぜ?」
セイクリッドの声にエルミアがゆっくりと瞼を開ける。そこ...
そして、エルミアをじっと見つめているセイクリッドと視線が...
「ファグルに何を言われた?」
「え? 別に…。セイルだって聞いてたじゃない。」
「あいつが最後にお前に何かを言っていただろうが。何を言わ...
「な、何でもないわ。」
エルミアは再び真っ赤になってその声は上擦っており、とて...
「…ったく、環の手掛かりがあると思いきや、聖霊共が揃いも揃...
話を変えるかのように、セイクリッドが呟いている。
「…ねぇセイル? 光人と呼ばれる貴方達と、あたし達人間との...
「ん? 何なんだいきなり…。」
エルミアはファグルの言った事を思い出しながら、言葉を続...
「光人には絶対に見つけられないけれど、普通の人間になら見...
「は? 何を言い出すんだよ、フィン?」
エルミアの突拍子もない考えにセイクリッドは眼を丸くして...
「うん、突拍子もない事を言っているなって自分でも思うんだ...
「ふ…む、まぁ確かにな…。けどあいつ等は、はっきりとした事...
「…判らない…けど、環は誰にでも見つけられるものなのかなっ...
「それは…なんとも言えねぇな。誰でも彼でも見つけ出せるもの...
「うん…。」
世界に混乱をきたすものであり、誰もが望んでも得られない...
「聖霊達の元に行ってかなり時間が経ってたようだな。間に合...
「え? どこへ…。」
エルミアの返答に呆れたような顔をしているセイクリッド。
「お前が最初に言った事だろうが。もう忘れちまったのか。」
過去の聖帝国ムー、ここに来た理由? その理由を考えてい...
「お前なぁ…。」
「わ、忘れていた訳じゃないわよ! 色んな事が一遍に起こり...
上目遣いに自分を睨んでくるエルミアに苦笑を浮かべるセイ...
「中に入る事は…出来ないと思う。外から見るだけになるが、そ...
セイクリッドの言葉にエルミアが小さく頷いた。
「この世界を出るまでは、俺の超常力も使えねぇだろうな。ま...
付いて来いと言う様に、セイクリッドがエルミアを促す。エ...
太陽は地平線に傾き始め、柔らかな光から残光のようなオレン...
「ここって、本当に綺麗ね…何もかもが信じられないほどに。」
辺りを見回しながらポツリと呟いたエルミアにセイクリッド...
「どんな奴の目にも、過去ってのは…綺麗に見えるらしいぜ。」
セイクリッドの言葉に一瞬首を傾げて、その背中を見つめて...
まるで人事のように言い切ったセイクリッド。では、彼自身は...
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