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CENTER:流星の章 巫女戦士 サーフィア・ル・エルン

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#navi(fate)
**流星の章 サーフィアル・エルン <星巫女(トゥワナの巫女)> [#d6e031c1]
**流星の章 サーフィア・ル・エルン <星巫女(トゥワナの巫女)> [#d6e031c1]

RIGHT:''&color(#ffdab9,#000){著者:真悠};''
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 サーフィアが、巫女戦士として星巫女宮に入って、4ヶ月が経っていた。
星巫女達は、何故かサーフィアを気に入ったらしく、暇を見つけては、何かとサーフィアに話しかける。
シャーラト城内の事、星巫女宮の事。
そして、中でも一番サーフィアを驚かせたのは、彼女達自身の事である。


 星巫女達は、只、額に星の痣があると言うだけで、両親と離され、泣く泣く星巫女として、シャーラトに上がって来たと言う。
中には、多額の金に目が眩んだ両親に売り払われた者も少なくないと言う。
それらを聞かされ、シャーラトの在り方に疑問を持つサーフィア。

 確かに、私も巫女戦士として教育を受けた時、大神官様は、星巫女達は、人間ではないと言っておられた。
只、女性という形をしている物だと。

 じゃあ、今私の前にいる彼女達は、人形?
……いいえ……、彼女達だって生きているわ。心の通った女性よ?
……そう、光のシャーラトという、美しい牢獄に捕らわれた女性達。
女性でありながら、女性として見られず、幸せも未来も自分のために紡ぐ事を許されない……。

 どうして?

 シャーラトを守ってくれている彼女達をどうしてそこまで、酷い扱いをするんだろう?
まるで罪人のように城の奥底に閉じ込めて、全ての自由をもぎ取る。
これが、光と言っている者達のやり方なのだろうか?
どうして、誰も気が付かないんだろう?
彼女達が、一人の女性であり、人間なのだと言う事に……。


 ぼんやり考え事をしながら、バルコニーでくつろいでいるサーフィア。夏の日差しが、シャーラト中を照りつける。


 ああ、良い天気。こんな日は、どこかで体を思いっきり動かすのが一番なんだけど、如何せん、今の私も自由にシャーラト城を出ることが出来ないわ。

 サーフィアは、誰も見ていないと思って、大きくあくびをした。
星巫女宮に上がって、星巫女達と話すようになってから、ずっと同じ事を考えていたため、よく眠れてないのである。
そんなサーフィアの背後から、明るい声が聞こえる。

「サーフィア様♪」

 ドキッとして、慌ててあくびをかみ殺し、振り向くサーフィア。自分を呼び止めた星巫女を見て、驚いていた。

 この方、只の星巫女じゃない! トゥワナの巫女候補のセレステ・セリア様だ!

「な……何でしょう? セレステ様?」

 サーフィアの言葉に、彼女はニッコリと微笑み、サーフィアの顔を覗き込みながら、話を続ける。

「サーフィア様は、今お暇でしょうか? もし、お暇でしたら私にお付き合いして頂けませんか?」


 セレステは、サーフィアより2歳年下で、18歳になる。
どこか、あどけなさを残し、屈託なく笑う女性であった。
他の星巫女が、サーフィアの側にいると、決まって他の星巫女の邪魔をして、サーフィアに話しかける女性である。
そして、サーフィアが、この星巫女宮に上がって来た時、一番最初にサーフィアに声をかけたのも、彼女、セレステ・セリアであった。


「ええ。身体は空いております。お付き合いできますわ。
……セレステ様、以前から言っておりますように、私の事は様付けなさらないで下さい。サーフィアと呼び捨てにして下さって宜しいのですよ。」
「あら。それじゃあ、ずるいわ。私が、貴女の事をサーフィアと呼び捨てにするなら、私の事も、セレステと呼んで下さらないと……。」

 セレステの言葉に、サーフィアが微笑む。

 セレステは、サーフィアの側に近寄り、そっと耳打ちをする。

「あのね……実は、ある方を探しに行きたいのです。サーフィアには、それにお付き合いして頂きたいの。」

 彼女の言葉に我が耳を疑ったサーフィア。
星巫女は、ラ・リューラの直命がない限り、星巫女宮から出ては行けないはずである。
ゴクッと息を呑み、セレステに話しかけるサーフィア。

「あの、セレステ様?」
「セレステと呼び捨てにして下さいと言ったはずですわ。……何でしょう?」
「あ、あの……。ラ・リューラ様のお許しは?」

 サーフィアの言葉に、ニッコリ微笑むセレステ。

「勿論ですわ。緑霊士長が、どうしてもナーモニカ草が欲しいそうなんです。
でも、それは、星巫女である私達にしか探せません。
それで、ラ・リューラ様から直命を受けたんです。
ただし、必ず、巫女戦士を一人連れて行く事と言われましたので、こうして、サーフィアにお願いして居るんです。」

 セレステの言葉に緊張がほぐれ、微笑みを浮かべるサーフィア。

「判りました。お供をさせていただきます。」

 サーフィアの言葉にセレステの顔が、パァッと明るく輝いた。

#hr

 シャーラト城を出て、城壁の中にある森に向かう二人の足取りは軽かった。
二人とも久しぶりに自由な空気を満喫しているためである。
セレステが、サーフィアを誘ってくれなければ、サーファもシャーラトの外に出ることは、叶わなかっただろう。

 ある人を捜したいというのは、ナーモニカ草の事らしい。フフ、なかなかお茶目な人だわ。

 サーフィアも内心ホッとしていた。
ナーモニカ草を見つけ、摘み終わったセレステは、サーフィアに満面の笑みを見せる。
サーフィアもつられて、笑顔になる。


「終わったようですね? では、戻りましょうか?」
「……実は……他にも用事があるのです。……サーフィアは、口が堅いから……。」


 真っ赤な顔をして、はにかんでいるセレステに、サーフィアの危険信号が点滅する。

「……何でしょう?」

 努めて穏便に尋ねるサーフィア。

「……私……ね。好きな方がいるんです……。その方に一言、私の思いをお伝えしたいんです……。」


 何ですって!? 星巫女が、男性に告白しようと言うの!?
でも待って! 結ばれる事はないのよ!?
それに、相手の男性も彼女の思いを知っているのだろうか!?
何より彼女は、トゥワナの巫女候補よ!
結ばれたりしたら、最悪、相手は封印、セレステは、追放になってしまうわ!


 セレステをしっかり見据えるまでは、サーフィアも巫女戦士として、反対するつもりだった。
ふ……とセレステを見ると、サーフィアの言葉を不安な面もちで待っている。
いや、それより、彼女の膝は、ガクガクと震えている。
そして、何よりも祈るように両手をしっかりと握りしめ、今にも泣き出しそうな顔でサーフィアの言葉を待っていた。

 ……ああ……きっと彼女にとっては初恋なのだろう。思い悩んで、苦しんで……。
それだけの深い思いを打ち明けようとしたのは、余程の事なのだろう。
星巫女と言われているが、彼女達だって、一人の女性なのだ。
苦しく切ない恋心を抱く、たった一人の女性。
……巫女戦士ではなく、只のサーフィアとして彼女に協力をしたい。

 サーフィアは大きく溜息を付いた。セレステの瞳から涙が溢れる。


「……判りました。貴女の気の済むようになさい。私は、貴女にお付き合いしますよ。」
「あ……ありがとう! サーフィア!」


 セレステはそう言うなり、満面の笑顔でサーフィアに抱きついてきた。
サーフィアは、苦笑するしかなかった。

 ……もしも、私に先を見通せる力があったら、きっと反対していただろう。
そうすれば、あれだけセレステを苦しめなくて済んだのだから……。
全ては、私の愚かさから始まったのだ。

 サーフィアとセレステは、シャーラト城には戻らず、違う場所へと向かっていく。
そして、そこは、サーフィアにとって見慣れた景色が拡がっていた。
戦士の訓練所。
4ヶ月前までは、毎日のように此処で練習していたのだ。

 彼女の好きな人とは、戦士なのか? ……一体誰なんだろう?

 巫女戦士と星巫女の二人を見て、訓練の手を休める戦士達。
戦士長、ラステート・エヴァンまでが、眉をひそめている。


 ……例え訓練であろうと、手を休めるなんて。
あんた達、実践だったら確実に死んでるよ。

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