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アグリア〜運命の女性達〜
火の章 炎の回想 マーリア・エリス


火の章 マーリア・エリス <火の迷路>

原作:美桜 編集:真悠
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    「で? お前の父親は何て言う方なんだ?」

     困惑するわたし。
     どうしてこんなに態度が変わるの?
     アルトゥスお兄さんの口調がさっきとまるで違う。
     とってもきつい言い方。
     アルトゥスの母さんは、ショールで口を押さえて
     そっぽを向いた。

    「……リム・パリスって母さんが言ってた。」

     その名前を出したとたん、優しかった母さんが
     怖い顔をして歩き始めた。

    「アルトゥス! やはり私は帰ります!
    何て事でしょう!」

     アルトゥスの母さんは、わたしの顔を見ようともせずに
     スタスタと歩いて噴水の向こうに消えていった。
     アルトゥスもすごい顔でわたしを睨み付けている。
     ど、どうしたって言うんだろう?
     怖いよぉ。

     アルトゥスは、わたしを見下すような冷たい態度で
     質問してくる。

    「……お前! 本当にリム・パリスの娘なのか?」

     何も判らず、コクンと頷くわたし。

    「あの……アルトゥスの母さんはどうしたの?」
    「私は、リム・アルトゥス・リドラ!
    母は、シラーナ・リム・ディア・リドラ!
    お前が父と呼んだリム・パリス・リドラの妻子だ!」
    「わぁ、じゃぁ、マーリアのお兄ちゃんなんだぁ。」

     わたしは、ただ単純に喜んだだけ。
     自分に兄弟が居た。それだけを。
     小さくて、大人の世界を把握できなかったから。
     もしかしたら、わたしを抱きしめてくれるかも知れない
     そういう風にしか思ってなかったから。

     喜んだのもつかの間、次の瞬間には意識が空白になった。
     何が起きたか判らなかった。
     アルトゥスの手が高々と上がり、わたしの頬に強い衝撃と
     痛みを感じた。

     なんで……?
     どうして?
     一体何が起きたの?

 

    「アルトゥス。待たせたな。おや? シラーナはどうした?」
    「お父様! この娘に見覚えがありますか!?
    言うに事欠いて、貴方の娘だといっているのですよ!
    まさか、お母様を裏切っておいでではないでしょうね!!」

     この……人がわたしの父さんなの?
     でも、私の前に現れたリム・パリスはまるで
     心当たりがないように答えた。

    「私の娘だと?
    はて……覚えがないがお嬢さんの名前は何て言うんだ?」

     聞かれても、わたしはアルトゥスが怖くって
     答えられなかった。
     アルトゥスがわたしを睨み付けながら、吐き出すように言う。

    「マーリア・エリスだそうですよ!
    母親はアルタミアとか言ってました!」

     父さんの顔が、その名を聞くなり納得したような、
     厄介者が来たという顔つきになった。
     こ、怖いよぉ。

    「お父様! どう言う事なんですか!
    きちんと説明して下さい!」

     畳みかけるアルトゥスを静かに制する父さん。
     わたしは、それでも父さんに淡い期待を抱いていたの。
     良く会いに来たなって抱きしめてくれると思っていたの。
     でも、それは手の届かない幻影だと思い知らされた。

    「ああ、あのアルタミアか。
    アルトゥスよ、心配には及ばない。
    すべてはアルタミアの虚言きょげんなのだからな。
    あの女戦士め、巫女戦士になれなかったのは私の責任だと
    言いがかりをつけおって、逆恨みでもしたのだろうよ。
    私は、アルタミアから執拗なほど求婚を受けておった。
    知っての通り、私にはお前達というかけがえのない家族が居る。
    何度もそのように断っていたのだ。
    私が手に入らないと知るやいなや、あの女はその腹いせに
    どこぞとの男と作った子供を私の子供だと言い放って、
    私の失脚を企てたんだ。
    力無き女戦士の戯言たわごとなぞ、
    気にかける必要もないぞ。
    あの女は嘘()きなのだから!」

     そんなひどい!
     母さんは怖いけれど、嘘吐きなんかじゃない!

    「母さんは嘘吐きなんかじゃないよぉ!!」
    「ふん! では、私の娘だという証拠でもあるのかね?
    全く母親の性格が歪んでいると、娘も嘘吐きになるようだ。
    アルトゥスよ、こんな下級の民の言う事を信じてはいかんぞ!」

     そう言うと、父さんは無情にもわたしに背を
     向けて去っていく。
     アルトゥスは、わたしに軽蔑の眼差しで睨み付ける。

    「とんでもないガキだな! いいか?
    二度と再び我等の前に顔を見せるなよ!」

     どうして……?
     わたしは父さんの娘だよ?
     どうしてみんなひどい事言うの?
     ただ、ただ怖くて悲しかった。
     秋の終わりの冷たい風より、もっと寒かった。

 

 5歳のわたしは、泣きながら母さんの所に戻っていった。これは、母さんの言いつけを守らなかったから、その(ばち)が当たったんだと思いながら。後悔と悲しさと、ただ母さんに慰めて欲しかった。

 わたしが欲しかったのはそんなに手の届かない物だったんだろうか?

 泣きながら家にたどり着くと、母さんはとっても怒っていた。

 

    「どこに行ってたんだい! マーリア!」
    「父さんの……所。」

     慰めて欲しかった。
     ただ優しく抱きしめて欲しかった。
     それ以上はなんにも望んでいない。
     だけれど、母さんは泣きながら縋り付こうとしたわたしを
     力一杯殴りつける。
     強かに頬を殴られて、わたしの体が、床に転がる。
     殴られた拍子に唇を切ったのか、
     血の臭いが口の中に充満する。

     母さんは、わたしの首根っこを掴みあげ、恐ろしい形相で
     わたしを睨み付ける。

    「どうやらお前は、母さんの言う事が聞けないようだね!
    今晩は、家の中に入る事は許さないよ!
    どんなことをしたのか一晩外でよく考えるんだね!!」

     訳も判らず、母さんに腕を引っ張られ、
     そのまま外に放り出される。
     母さんは、ドアを閉めて中から鍵をかけてしまった。
     わたしがどんなに謝っても、泣きわめいても
     ドアは開かない。
     どうしてなの!?
     マーリアにはわかんないよぉ!

     どうして父さんはあんなに冷たかったの?
     どうして母さんは、父さんに会いに行ったことを怒るの?
     だぁれもその訳を教えてくれない。
     それは、マーリアが母さんのゆう事聞かなかったから!?
     お願い! 母さん! ここを開けて!
     もう母さんの言いつけを破ったりしないからぁ!
     良い子になるよぉ!
     外は、とっても寒いよぉ、暗くて怖いよぉ!
     助けてぇぇぇぇぇ!! 

 

 気がつくと、空から白い物が降ってきていた。その年初めての雪だった。雪は容赦なくわたしに降りかかる。

 

     寒いよぉ……体が冷たいよぉ……。
     お腹もすいてきた……。
     母さん、お願い中に入れて。

 幼いわたしは、ドアにしがみつき、寒さを凌ごうと出来るだけ体を丸めた。そして、母さんを呼び続けていた。でも次第に声も出なくなり、意識ももうろうとしてきた。
それでも、わたしは、必ず母さんがドアを開けて抱きしめてくれるものだと信じていた。

 

    「もう……逆らわ…ないから……あ…け……て……。」

     それが限界だった。
     目の前が真っ暗になった。

 

 母さんの仕打ちに誰もが言葉を失っていた。アスティアが涙を流して、その涙をロドリグスが拭き取っている。エレアは、唇を噛みしめ、無言で膝を抱え(うずくま)っていた。まるで泣き出すのをこらえるかのように……。
――そう言えば、エレアの泣いた顔ってみたこと無い。それとも、わたしが弱くて泣きすぎるのかなぁ。

 母さんにとって、わたしってどんな存在だったんだろう? 父さんに復讐するためのただの道具? ……そんなこと信じたくない。
でも、今まで、過去を振り返っている上ではそうとしかとれない。
じゃぁ……あの時の母さんはなんだったんだろう?

 再び、重い沈黙が流れる。だからヤダよぉ、こんなのは。

「へへ……、わたしって命根性汚いんだね。普通だったら、この場で凍死してもおかしくない状況なのに、今立派に生きて居るんだもん。」

 わたしの言葉に、セロルナが微笑む。

「そんな事はないさ。……この後はマーリアの意識がないことだったからな。」

 え? どう言う事? セロルナは何か知ってるの? セロルナの手が燃え盛る炎の中に入る。すると、そこにはわたしの知らない過去が映し出された。


     身体が冷たくなって、気を失っているわたし。
     わたしの身体を綺麗な金色の光が包み込んでいる。
     金色の光の中で、わたしの身体が(ほの)かに赤みを
     取り戻す。

 何が起こっているの? わたしを包み込んでいた光が、蒼色に変化して人の形になっていく。あ……れ? あれはセロルナだ!
え? どう言う事なの? 何でセロルナが、わたしの小さい頃に居るの!?
じゃぁ、セロルナは小さい頃のわたしを知っているの?
いつ? わたしは知らないのに?
ロドリグスとセイルが、その様子を見ながら、苦笑している。

「……同じ様なもんだな……。」
「まあ、意味合いは、それぞれ違うがな。」

 セイルとロドリグスの不思議な言葉。セロルナが、クスクス笑っている。

 

    『……この少女なのか?
    俺の心に死を越えた叫びを伝えたのは。
    お前の思いが、俺の架せられた封印を
    突き抜けた以上見守るが道理。
    ……この幼さで死ぬには早すぎる。
    生きていれば、必ず良い事もあるはずだ。
    お前が幸せになる時まで見守っていよう。』

 あぁ、そうかぁ。セロルナのお陰で、わたしは死ななくてすんだのね?
でも、どうして彼はわたしを助けてくれたんだろう?

 雪の積もった翌朝。ドアが開かれ、母さんが出てきた。

 

    「おや? なんだい。まだ生きていたのかい?
    てっきり昨日の寒さでやられたと思っていたんだけれど、
    しぶといねぇ。一体誰に似たんだろうね。」

     母さんが、わたしを家の中に入れようと
     グッタリしていたわたしの襟首を掴んだ時だった。
     わたしと母さんを引き離す事件が起きた。

    「熱い!!」

 意識を失っているわたしの身体から、炎が吹き出した。これにはわたしもびっくり。母さんは手に火傷(やけど)を負って、わたしの身体を床に落とした。
わたしの中に、わたしでない誰かが入ったように勝手に話し出す。

 

    「これ以上、貴女のような女に関われば、
    マーリアは貴女に殺されるわ!
    光の殿が助けた命を貴女の勝手にさせてたまるものですか!」

 炎が広がり、母さんとわたしの家が燃え始める。何が起こったの? 幼いわたしの口調は、わたしではなかった。
まるで誰かが取り憑いているような……! こんな事があったの!?
わたしはこんな事知らない! これは、わたしじゃぁない!

 母さんの家が燃え始まり、付近にいた戦士達も突然の火の手に驚いている。何とか火を消し止めようと、わたし達の家の周りに集まる。その中には、火霊士長の姿もあった。

 

     炎の中、母さんがわたしに怒鳴りつける。

    「何を言ってるんだい! マーリア!
    それは戦士の持つ物ではないのよ!
    お前は戦士なんだ! やめなさい!!」
    「マーリアは……この子は戦士になんか向いてないのよ!
    それすらも貴女には判らないの!?
    それでもこの子の母親なの!?」

 わたしの身体を借りた誰かが、母さんをなじりつける。母さんは、炎の中でワナワナと震えている。いや! やめて! 母さんを責めないで!
違うの! わたしが母さんの言う事を聞かなかったからなの!

 そんなとき、再びわたしの身体を蒼い光が包み込む。その光を見るなり、わたしの中の誰かが瞬間穏やかになる。

 

    『もうやめるんだ! マーメリア!』
    「だって……!」

 マーメリアって誰? それがわたしの中にいた誰かなの? 母さんの目には、わたしの一人芝居のように映ったらしく、驚愕に満ちた表情だった。
蒼い光をまとったセロルナが火を消すまでもなく、火霊士長によって、その燃え盛る炎がかき消されていた。

 そして火が消えると共に、わたしの中のマーメリアと呼ばれた人も消えていた。その場に倒れ込んだわたしを火霊士長が抱きかかえる。母さんが、放心状態になっていた。
火霊士長が、わたしを抱き上げ、どこかに連れて行こうとする。

 

    「ま、待ってよ! 私の娘をどこに連れて行こうと言うの!?
    その子は、戦士なのよ!!」

 ヒステリックに叫ぶ母さん。火霊士長は、母さんの方を振り向くと冷ややかな視線で母さんを見ている。

 

    「昨夜、リューラ様が告げられたのだ。
    マーリア・エリスを火霊士として
    育てるようにと!
    その事は、お前の耳にも入ったはずではないか!
    なのにこの仕打ちはいったい何なんだ!?」
    「そんな馬鹿な! この子は戦士なのよ!
    あれはリューラ様のお戯れでしょうに!」
    「リューラ様が、お戯れを申されるわけが無かろう!
    現にお前は、リューラ様のお言葉を無視しようとした!
    このままお前のような女に育てられては、
    この幼子があまりに不憫すぎる!」

 怒りを顕わにしている火霊士長。呆然として膝をがくりと落としている母さん。そうよね、母さんは元々わたしを巫女戦士に育て上げたかったんだもの。
でも、ラ・リューラ様のお言葉には逆らえないと悟ったのか、信じられないぐらいあっさりと、わたしを火霊士長に委ねてしまった。

 

    「ああ! 判ったよ!
    霊士如きにとやかく言われるのは気に入らないが、
    リューラ様のお言葉じゃぁ、逆らったってしょうがないわ!
    ふん、こっちもいい厄介払いが出来たってもんだ!
    さあ! さっさとその役立たずを連れて行くんだね!」
    「あんたという人間は、本当に最低な親だな!」

 火霊士長は、母さんを強かに睨み据えて、わたしを霊士宮に連れて行った。か……あさん。わたしはそんなに、母さんの厄介者だったの?
でも、わたしはこんな事知らない。これが……母さんの本当の気持ちだったの?

 

     やがて、暖かな布団の中で目覚めたわたしは、
     見知らぬ部屋にいた。

    「ここ……は。」

     母さんの家じゃない。
     マーリアはどこにいるの?
     母さんはどこ?
     いきなりドアが開いたかと思うと、
     女の人が不躾にはいってきた。
     そして、これまた不躾に喋り出す。

    「やっと目が覚めたのね?
    全くさっさと起きてくれないと私の仕事が滞るのよ!」

 その女性は、何故か憤慨していた。今考えてみれば、私生児である私の面倒を見なければ行けなくなったからだろうなぁ。

 

    「全く!
    火霊士長は、何でこんな私生児を連れてきたのかしら!
    いくらラ・リューラ様の命令だからって、
    どうして私がこんな子供の
    面倒を見なくちゃ行けないの!?
    まあ良いわ!
    とにかく今日から私が、あんたの面倒を見なくちゃ
    行けないんだから、きちんと言う事を聞きなさいよ!
    私は、ジュリエル・ギムラよ!」

     このジュリエルって言う人、怖い。
     シセイジって何?
     わたしそんなに悪いことをしたの?

    「ジュ……ジュリエル。母さんはどこ?
    母さんに会いたいよぉ。」

     ジュリエルは、わたしをキッと睨み付けると
     そっぽを向いてしまった。

    「冗談じゃぁないわ! あんたの母親は戦士宮なのよ!
    何で私がくだらない戦士の所に行かなければならないの!?
    私はご免ですからね!」
    「……か、母さんの所に帰るぅ!」

     ジュリエルが、私の手の甲をキュッと強く(つね)った。

    「い、痛い!」
    「言ったでしょう? 私の言う事を聞きなさいって!
    またそんな判らないことを言ったら、ひどい目に遭わすわよ!」

     それだけ言うと、ジュリエルはさっさと出て行った。
     良いもん!
     案内なんかされなくたって、一人で行けるもん!

 わたしは霊士宮を抜け出して、自分の家へと向かった。母さんの家があった場所に行くと、そこは激しい炎の跡が残る瓦礫だった。母さんの家が見当たらない。

 

     どこに行ったんだろう?
     母さんは……。
     何でおうちがこんな風になってるの?

 母さんを追い求めるために、戦士宮の方へと走っていく。とりあえず女戦士宮の前でウロウロ歩いていると、一人の戦士が出てきた。あ、母さんと仲のいいリンだ。

 

    「リン!」

 リンはわたしに気がつくと、あからさまに嫌な顔をした。

    「あら? 霊士マーリア様じゃないの。
    戦士宮になんのご用事かしら?」
    「母さんに会いに来たの。
    ううん、母さんのとこに戻ってきたの。」
    「戻ってきた? 何を言ってるのよ、この子は!
    リューラ様と計って、母親を捨てたくせに!」

 リンはそれだけ言うと、戦士宮の中に入っていった。

    「わたし…母さんと……。」

    何が何だかわかんないよ。
    リューラ様って誰?
    わたし、そんな人と会った事もないのに、
    どうしてリンがあんなに
    怒っているの?
    母さんはどこなの?

 落ち込んでその場に佇んでいると、後ろからいきなり襟首を掴まれ空に浮き上がったわたしの身体。びっくりして振り返ると、ジュリエルが怖い顔をしている。

 

    「マーリア、何故貴女がこんな所にいるの!?」
    「ご、ごめんなさい! 母さんの所に戻りたかったから!」
    「無駄よ! あんたは今日から火霊士として暮らすのよ!
    野蛮な戦士とは縁を切ったのよ!
    あんたの母親だって、それを納得して居るんだから!
    判ったわね!?」

     どうしてわたしは母さんと会ってはいけないの?
     わたしは母さんの娘なんだよ?

 ジュリエルは、嫌がるわたしを強引に引きずって、霊士宮へと連れてきた。そして部屋に入れると、鍵を外からかけてしまったの。わたしはベッドに潜り込んで、一晩中泣いていた。

 

     どうしてこんな事になってしまったのぉ!
     いきなり霊士って言われたって、ピンと来ないよぉ!
     わたしは戦士になるように母さんに育てられたのに。
     何より、わたしは火なんて扱えないのにぃ!
     火霊士って言われたって、わかんないよぉ。

 頭が混乱してきた。泣き続けたわたしは、いつの間にか寝てしまっていたのよ。

 次の日から、私を待っていたのは、火霊士としての特訓だった。火霊士長のファグ・ドンナ様は、容赦なくわたしに火霊士としての訓練を行う。
正直なところ、母さんの特訓よりは、素直に頭の中に入ってきていた。

 たとえ、どんなに素直に頭の中に入って来ようとも母さんに会いたいという気持ちは抑えることが出来なかった。霊士宮を抜け出しては、戦士宮に向かっていく。
その都度母さんに会えず、ジュリエルに連れ戻される日々が続いた。
ある日、そんなわたしの行動に見かねた火霊士長が、戦士宮へと連れて行ってくれた。

 

     ああ、やっと母さんと会えるんだ!


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