Novel

星幻想

著者:真悠
790

 ―――月日の流れるのはあっと言うまで、サーフィアがシャーラトを出てから既に13年も経っていた。私も31歳…。

 そんなある日、衝撃が私を襲ったわ。13年間音信不通だったサーフィアから、ラ・リューラ様宛に親書が届いたというの!
恥も外聞も掻き捨てて、リューラ様にお会いするために、リューラ様の部屋に向かったの!

 始め驚いた顔をなさっていたリューラ様が、クスクスお笑いになったわ。
おそらく、サーフィアの親書が届いたとなると、一番最初に来るのは私だろうと思っていらっしゃったみたい。
ほ、本当の事だけれど、穴があったら入りたかったわ。

 リューラ様がゆっくりとサーフィアの親書の封を開いたわ。
(はや)る気持ちが押さえきれない……。胸の鼓動が早くなる。
これは、まるで恋をしているような……。

 恋? そうかも知れない……。サーフィアと初めて逢ったあの時から、ずっとサーフィアの面影を抱いていたんだわ。そうよ、あの男の事を好きになったのだって、サーフィアと出会った後だもの。
サーフィアの姿を見たり、話しかけられるととても嬉しくて、気持ちもほんのりと暖かくなったのを覚えている。他の星巫女(ほしみこ)より、少しでも多く私の事を知って貰おうと、色々アプローチしていたわ。

 過ぎ去った遠い過去に思いを馳せている私に、リューラ様が声をかけて下さった。

「セレステ? サーフィアは子供を産んだそうですよ。……偶然な事にセティーラが、子供を産んだ時と殆ど同じ様ですね。」

 リューラ様の言葉に強かにショックを受けてしまったわ。サーフィアが子供を産んだ!?
そんな……誰の子供なの!?
確かに13年という年月では、子供が出来てもおかしくは、無いけれど……。
でも……でも……!

 戸惑っている私を余所よそに、リューラ様は優しい微笑みを浮かべ、サーフィアの親書をゆっくり読みながら、私の方を向く。

「……セレステ、貴女の事も書いてありますよ。自分は、巫女戦士(みこせんし)ではなくなったけれど、いつまでも貴女を守るための戦士である……と。
決して今日までの日々、不幸ではなかった……と。
むしろ貴女や他の星巫女達が苦しんでいないかと言う事を気にしている見たいですね。」

 サーフィアの優しい心遣いに涙が溢れてきた。彼女は、私を恨んでなかったの……?
戦いの中で大変だというのに、それでも尚私達の事を心配してくれていたの?

「リューラ様、サーフィアは今どこにいるのですか?」

 私の言葉に、リューラ様が頷いて応える。

「彼女とその夫、そして子供はどうやらセテの廃墟にいるようですね。わたくしに謁見の希望をしております。」

 リューラ様がそこまで仰ると、部屋にあった紫のクリスタルが激しく明滅しだした。
それと同時に私の中でも激しい胸騒ぎに駆られる。リューラ様の顔色が見る見る真っ青になる。

「セレステ! 直ぐに戦士長ラステート・エヴァンに告げて下さい。サーフィアとその夫、そして子供であるエルミアを急いで迎えに行くようにと。
その3人がシャーラトに来たら、貴女は速やかにその3人をわたくしの元に連れて来て下さい。」

 リューラ様の取り乱しように驚いた私は、急いで、リューラ様から言われた事をラステートに告げた。ラステートは、精鋭の戦士を10名ほど連れて、直ぐにセテの廃墟に急いだ。

 胸騒ぎがするの!
お願いラステート!! サーフィア達を無事に連れて来て!!
セテの廃墟…もうシャーラトとは目と鼻の先だわ!
サーフィアはそこまで来ていたのね!?
私は、サーフィアに言わなければいけない事があるの……!
どうか無事にサーフィアを連れて来て!


 胸騒ぎがずっと収まらなくて、シャーラト城の入り口の前で、ずっとラステート達が戻るのを待っていた。
……この胸騒ぎは、13年ぶりにサーフィアに逢えるからよ。
私はずっと自分にそう言い聞かせていた。
ラステートと共に、サーフィアの笑顔を思い出しながら…。

 もう陽も暮れる頃、城門が重い音を立て、ゆっくりと開かれる。
逆光でよく見えないけれど、ラステート達が戻ってきたんだわ! シャーラト城の前にゆっくり歩み寄るラステート。
サーフィアは!? サーフィアは何処!?

 ……どんなに彼女の姿を捜しても、そこには見つからなかった。
行った時と同じ人数…? いいえ……ラステートの腕の中には、放心状態になった女の子が一人。他の戦士達は、忌々しそうにその女の子を睨み付けている。

 ラステートは、私の顔を見て、何かを言いかけた。けれど、ぐっと唇を噛みしめ、放心状態になった女の子を哀しそうに見つめている。
その女の子は、見事な銀髪……そして漆黒の瞳。瞳の色さえ除けば、サーフィアそっくりな顔立ち…!

 何故、黙っているの!? ラステート! 何か言ってちょうだい!
重苦しいものが私にまとわりつく。

「……セレステ様……この少女は、元巫女戦士サーフィアの―――忘れ形見…です…」

 ラステートが、重い口を開く。

 ――……な…に? ラステートは…今……何て言った……の……?
サーフィア…の…何ですって…?

 私の全身が小刻みに震え出す。足元がぐらつく。頭の奥で何かが、ガンガンと鳴り響く。風景は、次第に色を失い、まだ夕方の明るい時間のはずなのに真っ暗になっていく。

「……我々がセテの廃墟に辿り着いた時には……既に全てが終わっていました……。おそらく激しい戦いがあったのでしょう……。
サーフィアは巫女戦士として使えるたった一つの超常力(ちから)を使ったのでしょう……その身体は粉々で……この子の父親と思われる人物も……無惨に殺されていた後でした……。」

 嘘……よ、信じないわ……。あの美しかったサーフィアが……?
そうよ…誰よりも美しくて、誰よりも強かったのよ。

 そのサーフィアの身体が……粉々になっていた?

「……信じません! ……サーフィアは……何処……?」

 やっとの思いで、出た言葉。ラステートも辛そうに唇をかみ締め、首を横に振る。私の言葉に、空虚のようになっていた少女が反応した。

「……父様……母様……嫌…フィンを置いて逝かないでぇぇぇ――!!」

 少女が絶叫したかと思うと、狂ったように泣き出した。
そして、その少女の絶叫と共に、凄まじい風が、私達に吹き付け荒れ狂う。

 ラステートは、その激しい風から私と少女を庇っていた。

 今の私には、少女の事も、ラステートの事も眼中になかった。
サーフィアが旅立ったあの日、サーフィアの背後に朧気ながら見えた死の陰!
それが、今、彼女を捕らえてしまった!!

 サーフィアが死んだ!? 私は彼女に何も言っていない!!
シャーラトの直ぐ側に来ていながら、逢えないまま終わってしまったの!?
私が、あんな事しなければ、サーフィアはシャーラトを追放される事もなかった!!

 目の前が真っ暗になり、足が大地に着いていない。天と地が激しくグルグル回る。
次の瞬間、私はサーフィアの名前を絶叫して……気を失った。


 目を覚ました時、私の目に映ったのは、見慣れた天井。横ではチュリアが心配そうな顔をしている。

「大丈夫!? セレステ! 貴女、戦士長に抱えられてきたのよ!!」

 夢よね? サーフィアに逢いたい一心で、不吉な夢を見たのよね?

「……サーフィアの事を知っている、星巫女達も…彼女の壮絶な死を知って、泣き明かしているわ……。」

 チュリアの言葉に、再び目の前が真っ暗になったわ。ラステートの言葉も、あの少女の事も夢ではなかったんだ!!

「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 私は、チュリアが居ることすら気にならないように泣き叫んだ。
チュリアも、涙を瞳にためて、早々に部屋を出ていく。
こんな事って無い!! 私が、彼女を殺したようなものだわ!!
彼女を苦痛に追いやった私が!!
サーフィアに謝りたくてもサーフィアはもう居ない!!
どうして、こんな風になってしまったの!?
これが運命だというのなら、余りにも(むご)い! 余りにも(ひど)い! 彼女が死んで、どうして私が生きてるの!?

 私はそれから暫くの間、私は、抜け殻のように部屋から出ようとは思わなかった。繰り返し繰り返し、サーフィアの事を思うと涙が止まらなかった。

 サーフィア……貴女、子供を残して辛くなかった? いいえ……そんなはず無い。貴女ほどの女戦士を倒せる者って、一体誰なの?

 サーフィアの……子供……?

 そう言えば、ラステートが連れて来た少女はどうしたの?
今、落ち着いて考えると、少女の瞳は、綺麗な漆黒色だった。まさか、サーフィアは、闇の人間を愛したの?

 ―― ……闇…… ――?

 そこまで冷静に考え付いた私の背筋に悪寒が走った。
此処はシャーラトよ! 闇の血を引いているとなれば、あの子がどんな目に遭うの!?
サーフィアの忘れ形見は何処なの!?
部屋を出ようとした私は、丁度見舞いに来たチュリアとぶつかった。

「チュリア! あの子は何処!?  サーフィアの娘は!?」
「そ……それが、初めは、戦士長の手から、信頼するリグットの所に預けられたんだけど、聖霊王が、彼女の風霊士としての資質に目を付けて、霊士宮に行ったそうよ。
でも…他の霊士達から、酷い扱いを受けているそうよ。
……戦士長もリグットも聖霊王も憤慨なさっているとか……。」

 チュリアの言葉にショックを受けた。
サーフィアが命がけで守ったであろう子供を邪険に扱っていると言うの!?
そんな馬鹿な事って無いわ!! サーフィアが、闇の男性と愛し合って、ラトラーゼルから離れるのは並大抵の苦労じゃなかったはず!
リューラ様に謁見を求めたのだって、相当な覚悟が居るはずだわ!
たかが、闇の血を引いているだけで、認められ無いと言うの!?
シャーラトは光に満ちて、全てを包み込む存在ではなかったの!?

 光のシャーラトに対する大きな疑問。闇の血を引いているから全てを否定するの? そんな馬鹿な事って無い!

 

 それから、何度もサーフィアの子供であるエルミアの噂を聞いた。
時々彼女の姿も見かけたわ。脅しや、侮辱の言葉にも屈せず、凛と輝いていて、その瞳は鋭い光を放っていたわ。
その容姿は、サーフィアを彷彿させるものがあった。時々見せる表情は、サーフィアにそっくり。
同じ年齢であるアスティアと比べると、余りにも違いすぎる。

 ピンと張りすぎている一本の糸。
まるで、自分をギリギリの所に追いつめているような…そんな脆さが伺えた。

 でも、その中に光すら放っている。
そんな彼女の事を、シャーラトの人々は気付かないのかしら?
いいえ、それより、何とかして彼女と会う機会を持たなければ。私は…。

 ある日ラステートが、リューラ様に呼ばれてきた。
私は、彼の案内を努めながら、エルミアの事をどう思っているか聞いてみたわ。

「……貴女の大切な恩人であるサーフィアの娘を私が(うと)んじるはず無いでしょう?
確かに彼女は闇の血を引いているけれど、あの漆黒の瞳には何の曇りもありません。
それどころか光を放っている。これでも、人を見る目は在るつもりですよ。」

 ラステートは更に続けた。

「あの子には、戦士の素質もあると思います。本来なら、直ぐにでも私が引き取りたいくらいですよ。リグットもそれは思っているようですね。」
「リグットも? 彼は貴方に進言したんですか?」
「いいえ、口には出してません。ただ、彼を見ているとエルミアを育てたがっているのが判ります。
彼女は非公式とはいえ、風霊士。聖霊王と話をしなければ行けませんね。
いざとなれば、奥の手を使いますか。」
「奥の手?」
「……ああ、いえ、こちらの話です。セレステ、貴女はこの星巫女宮を滅多に出る事は出来ません。
ですが、エルミアの事は私やリグット、そして聖霊王に任せて下さい。
決してエルミアを傷つけさせません。」

 ラステートは微笑みながらそう言ってくれた。ラステートの言葉は信じてる。
でも……良いのだろうか? サーフィアが亡くなってそんなに経っていないのに私だけが幸せで……。

 私の気持ちを見透かすようにラステートが最後に言ったわ。

「セレステ、サーフィアは最高の戦士であり、巫女戦士でありました。
そんな女性が、セレステの幸せを妬むとお思いですか? 彼女は、そんな事しません。逆に喜んでくれるでしょう。
……ただ、彼女にとってエルミアの事だけが、心残りでしょうね。」

 ラステートの言葉に私は胸が痛くなった。……私は子供を産んだことはないけれど、子供を思う気持ちは、セティーラを見ていて痛いほど判る。

「お願いします。エルミアをしっかり守って下さい。……サーフィアやあの子の父親の代わりに……。」

 私の言葉にラステートは、笑顔で頷いてくれた。


 やがて、エルミアがシャーラトに引き取られて9年が経った。
その間、ラステートの最も信頼するリグットが戦死してしまい、一時期セティーラもアスティアも元気を無くしていたけれどやがて、リグットの死を乗り越えて行った。

 そんなある日、リューラ様が、アスティア、エルミア、そしてマーリアという少女と3人と聖四天(せいしてん)の内の3人をリオングの谷まで旅に出すと聞き及んだ。
三聖女を捜すため……。

 エルミアに逢うための機会がもう無くなってしまう。何としてでも彼女に会わなければ!

 私は、リューラ様の許可を得て、エルミアの出立に立ち会ったわ。
私の手の中には、昔サーフィアから貰ったブルーの戦士のサラーナがあった。
エルミアはきょとんとしていた。
アスティアとマーリアも不思議そうな顔で見ていた。
私がエルミアに近付くと、彼女は怪訝そうな顔をしていた。

「貴女に……渡したいものが在るんですが……。」
「アスティアの間違いじゃありません? あたしは貴女とは何の面識もありませんが?」

 なかなか一筋縄では行かない少女ね。……まるで、昔の私みたい……。
でも此処で怯んでしまったら、二度と彼女とは話が出来ないわ。

「貴女とは、殆ど初対面になりますね。……でも貴女のお母様サーフィアの事は良く知ってます。」

 サーフィアの名前が出た途端、エルミアの表情が険しくなった。

「わざわざ、母様の悪口でも言いに来たんですか!?」

 何かしら? この反応は……。ああ……そう言えば、ラステートから聞いた事がある。
エルミアはシャーラトの全てを拒否している……と。

「それは誤解ですわ。私はサーフィアを尊敬していました。
彼女ほどの女戦士、そして最高の巫女戦士を私は見た事がありません。
私が、貴女にお渡ししたいのは、サーフィアのサラーナなんです。」
「……母様のサラーナ……? 何故貴女が持って居るんですか?」
「今では…サーフィアの形見となってしまいましたが、巫女戦士に上がって来た時に彼女が着ていたものなんです。
……巫女戦士になった時、私が無理を言って彼女から頂いたんです。
戦士のサラーナですが、私が持っているより、貴女に渡した方がサーフィアも喜ぶでしょう。」

 青いサラーナをエルミアに手渡すと、エルミアはそれを抱きしめ、笑顔を見せてくれたわ。
その笑顔も、何とサーフィアにそっくりな事か! そうよ、私がした事をこの子に言わなければ……。

「私ね……本当はサーフィアに謝りたかったの。私が、彼女を最前線に追いやったようなものだから。昔、私は一人の戦士を好きになったと勘違いして、告白したんだけどその男性は、私の事を化け物呼ばわりしたの。サーフィアは、私の敵を討ってくれたのよ。
でも……そのせいで最前線送りになってしまったのよ。
ごめんなさい。こんな事言ってもサーフィアが戻って来る訳じゃないんだけど……。」

 エルミアは暫く沈黙していた。きっと私の事を憎んでいるのね。
直接的には手を出しては居ないけれど、間接的に手を出している事に変わりないわ。

「……母様らしい。自分の事より人の事を優先させる所は、昔から変わっていなかったのね。」

 エルミアの言葉に驚いた私。エルミアは優しく微笑んでくれた。

「母様は、シャーラトに忘れられない人が居るって言ってたの。……それはきっと貴女ね。ずっと母様はその人の事を気にかけていたわ。
……父様と結ばれ、自分だけ幸せになって良いのだろうか?
その人が不幸ではないのだろうかって……母様はそう言う人だったから。」

 エルミアの言葉に涙が溢れてきた。

「……私は、今幸せよ。星巫女でも私の事を一人の女性として、愛してるって言ってくれる人が居るの。
サーフィアも判っているかしら?」
「多分喜んでいると思うわ。……例え闇の中に堕ちていても、母様は私の事を見守ってくれてるはずだから。」
「エルミア……貴女がこの旅で無事な事を祈ってます。きっと、貴女の思いを遂げて下さいね。約束して下さい。」

 私の言葉にエルミアがニッコリと微笑む。思わず私はエルミアに祝福のキスをしたの。
始め驚いた顔をしていたけれど、首を傾げて微笑んだ後、私の右頬にキスをしてくれたの。

「これは、母様のサラーナを下さったお礼です。それとこれは、母様から感謝と敬愛を込めて。」

 そう言うと、私の左頬に優しいキスをしてくれた。後ろからアスティアとマーリアがエルミアを呼んでいる。
エルミアは、私に礼をすると、2人の元に走っていく。

「3人とも! 必ず、無事でいてね! ずっと貴女達のことを祈っているわ!」

 私の言葉に3人の少女が大きく手を振り替えしてくれた。
サーフィアの娘エルミア、セティーラの娘アスティア、アルタミアの娘マーリア。
この3人は、不思議な縁で結ばれている。三聖女を捜すために旅立った3人の少女。
私には、彼女達の行く末ははっきりとは見えない。
けれど大いなる運命に立ち向かっていく3人の少女。

 本当に彼女達が無事である事を祈らずには居られない。
特に強く澄んだ漆黒の瞳を持つエルミア。貴女の行く末に幸大からん事を願います。
貴女にもこのシャーラトに戻ってきて…と言いたいけれど、それは酷な事だと知って居るわ。
何者にも犯されない強さを持つエルミア。

 どうか……覚えておいて。貴女は、サーフィアの全てを受け継いでいるのだ…と。
そして、貴女の父親の事は、私は知らないけれど、きっと貴女を愛し、育んでいたに違いないわ。だから、どうか2人を誇りに思って、いつまでも忘れないで居て下さい。

 3人の少女の姿が遠くに霞む。貴女達3人の未来に遙かなる光が満ち溢れている事を祈っています。


 3人の少女、エルミア、アスティア、マーリアが旅立って、大役を果たして既に数年が経つ。ラ・リューラ様が交代されて、私達星巫女の役目も終わったわ。

 シャーラトが少しずつ変わっていき、私達の辛さが少なくなっていった。今、私は愛する人と、満ち足りた生活を送っているわ。

 エルミア? 貴女は、今何処を駆け回っているのかしら?
銀の殿方とは、うまく行っている? ……いつかまた、貴女に逢いたいわ。
そうね……いつか…(とき)(まっと)うした時に……。

――星幻想 END――

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